水槽の水は日々蒸発し、徐々に量が減っていきます。冬季は特に乾燥しており、水槽ヒーターの使用による水温と室温の差が蒸発を促進させます。
そこで、水槽を適切に維持するためには、蒸発した水を補う「足し水」が不可欠です。この記事では、水槽の水が蒸発することで生じる影響と、足し水の正しい方法について説明します。
水槽の水位低下に対する足し水の重要性
水槽の水は時間と共に蒸発し、水面の水位が次第に低くなります。水位が下がると、機器の故障や生体への悪影響が生じる可能性があります。従って、蒸発した分の水を補給することが求められます。
例えば、冬の時期に60センチの水槽では、一日に約1センチの水位が下がり、これは約2リットルの水が減少したことを示します。
水位の低下が及ぼす影響
特に注意が必要なのは、水槽ヒーターが水面上に露出し、空焚きになるリスクです。ヒーターが露出すると故障を引き起こす可能性もあります。
さらに、最低限必要な水位が定められているフィルターを使っている場合、水位の低下により機能不全を引き起こすことがあります。
また、水量の減少は水質の急変を招き、生体に悪影響を与えることも考えられます。
足し水の実施方法
足し水の手法は人それぞれですが、ここでは特に初心者の方向けの簡単な方法をご紹介します。
足し水の基本手順は次の通りです。
- カルキの除去
- 水温の調節
- 水槽への水のゆっくりとした注入
これらのステップについて順を追って解説します。
カルキの除去方法
まず、バケツ等に入れた水から水道水に含まれるカルキを取り除きます。
カルキを取り除く方法には、水をあらかじめ汲んでおく方法や塩素中和剤を使用する方法があります。特に空気が乾燥しやすい季節では、あらかじめカルキを抜いた水をストックしておくと便利です。
水温の合わせ方
次に、カルキを抜いた水の温度を水槽の水の温度に合わせます。
暖かい時期は室内に置いておくだけで水温が上昇しますが、寒い時期は水槽用ヒーターを活用することができます。
ヒーターを使用する際は、空気中に露出しないように注意し、バケツの水温を温度計で確認しながら、必要に応じてお湯と水道水を混ぜて温度を調整します。
水槽へ水を加える方法
カルキを抜いた水を温度調整した後は、水を水槽に加える作業が続きます。水を急激に注ぐと、水槽内の生き物たちにストレスを与えてしまうので、丁寧にゆっくりと加えることが大切です。
足し水の応用技術
特に敏感な生物を飼育している場合、足し水の際には水のpH値を調整することをお勧めします。水道水と水槽の水のpHが異なる場合、このステップは特に重要です。
ただし、初心者の方には少し難しいかもしれません。デリケートな生物を飼育していない場合は、pH調整は必ずしも必要ではありません。
また、水槽が大きく、足し水の量が全体の水量に対して少ない場合は、カルキ抜きや温度調整を省略することも可能です。水槽の状態を適切に把握し、慣れてきたら自分なりの方法を見つけていくことが大切です。
海水水槽での足し水
海水水槽での足し水には、意外にも淡水を使用します。海水が蒸発するとき、水分のみが失われ、塩分は残ります。
そのため、海水を追加すると塩分濃度が高くなってしまいます。海水水槽においても、足し水には淡水を使用するのが適切です。
水槽の水の蒸発を抑制する方法
水槽の水の蒸発を減らすには、フタをすることが一番手軽な方法です。
ただし、完全に密閉すると酸素が不足する恐れがあるため、適度な隙間を残すことが重要です。フタをすることで、水の減少速度に明らかな違いが生じます。
自動給水器の利用
定期的に足し水をするのが面倒な場合は、自動給水器の使用が便利です。これにより、水の蒸発による水位の低下を自動的に補正し、水位を一定に保つことが可能です。長期間家を空ける場合に特に役立ちます。デザインが目立つものもありますが、ペットボトルを使用した低コストの製品もあり、おすすめです。
まとめ
水槽の水を補充する方法を要約すると、以下のようになります。
- カルキを抜く
- 水温を調節する
- 水槽に水をゆっくりと注ぐ
これらの手順に慣れたら、水槽の状況や生体に応じて、手順を調整し、より慎重に行うことが大切です。