毎年のように続けてきた「お歳暮」。気づけば当たり前のように贈っているけれど、「そろそろやめたい」「経費や負担も大きいし見直したい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし同時に、「急にやめたら失礼では?」「取引先との関係が悪くならないかな」と不安になるのもビジネスパーソンの本音だと思います。
実は、お歳暮をやめること自体は、必ずしもマナー違反ではありません。大切なのは、「なぜやめるのか」「どのように伝えるのか」という部分です。ここを丁寧に押さえておけば、無理なく負担を減らしながら、相手との信頼関係もきちんと守ることができます。
この記事では、ビジネスシーンでお歳暮をやめるときの考え方やマナー、角を立てない伝え方のポイントから、そのまま使える例文テンプレートまで、わかりやすくまとめました。
「やめたいけれど言いづらい…」というモヤモヤを整理して、スッキリとした気持ちで年末を迎えるためのヒントになればうれしいです。
お歳暮をやめても大丈夫?ビジネスの常識と基本マナー
まずは、「そもそも、お歳暮をやめることは失礼なのか?」という根本的な疑問から整理していきましょう。ここを理解しておくと、罪悪感や不安がぐっと軽くなります。
お歳暮をやめても失礼にならない理由を理解する
お歳暮は、本来は「1年間お世話になったお礼」を伝える季節のご挨拶です。
つまり、絶対に贈らなければならない“義務”ではなく、あくまで“好意”としての贈り物とされています。
そのため、会社としての方針変更や経費の見直し、贈答の一律廃止など、合理的な理由があればやめてもマナー違反ではありません。実際、多くの企業がコンプライアンスや対等な取引関係の観点から、お歳暮の「廃止」や「自粛」を進めています。
大切なのは、一方的に黙ってフェードアウトしないこと。
「やめる」という事実よりも、その伝え方次第で、相手の受け止め方が大きく変わるという点を意識しておきましょう。
やめる前に整理すべき「相手との関係性」と「伝える時期」
お歳暮をやめるときは、まず次の2点を整理しておくと判断がしやすくなります。
● 相手との関係性
・長年の主要取引先かどうか
・今後も取引を拡大していきたい相手かどうか
・個人的に特別お世話になっているキーパーソンかどうか
● 伝えるタイミング
・お歳暮シーズン(11〜12月)の前に知らせるか
・お歳暮の時期に合わせて「今年限り」「本年より中止」と伝えるか
・すでに先方から届いている場合は、そのお礼と併せて方針を伝えるか
特に、長年やりとりがある相手ほど、突然やめると「何かあったのかな?」と勘ぐられやすいもの。
今後も良好な関係を続けたい相手であれば、事前に一言添えておくことをおすすめします。
突然やめる場合に起こりやすい誤解と避けたいリスク
お歳暮を何の前触れもなくやめてしまうと、相手によっては次のような受け止め方をされてしまう可能性があります。
・「取引を縮小したいのだろうか」
・「うちへの評価が下がったのかな」
・「担当者が変わって、関係性が薄くなったのかもしれない」
特に、これまで毎年のように贈っていた場合は、変化が目立ちやすく、相手の印象にも残りやすいものです。
そうした誤解を避けるためにも、
・「社内ルールとして、すべてのお取引先様へのお歳暮を控えることになった」
・「贈答ではなく、日頃のお取引そのもので感謝をお伝えしたい」
といった形で、相手を否定しない理由付けを添えておくことが大切です。
「あなた方だけをやめたわけではありません」というメッセージが伝わるよう、言葉選びに気を配りましょう。
角を立てない!ビジネスでお歳暮を辞退する伝え方・注意点
続いて、お歳暮をやめるときの「具体的な伝え方」の部分を見ていきましょう。
伝える順番や言い回しを工夫するだけで、相手の受け止め方は大きく変わります。
丁寧に断るための3ステップ(結論→理由→感謝)
お歳暮をやめる・辞退することを伝えるときは、次の3ステップを意識すると、角が立ちにくくなります。
① 結論:お歳暮を控える(終了する)ことをはっきり伝える
例)「弊社では、本年よりお歳暮によるご挨拶を控えさせていただくこととなりました。」
② 理由:相手を否定しない“全体方針”として説明する
例)「社内の贈答品に関する取り扱いを見直し、すべてのお取引先様に対して、贈答によるご挨拶を控えることといたしました。」
③ 感謝:今までのお礼と、今後も関係を続けたい意思を伝える
例)「これまで賜りましたご厚情に、あらためて御礼申し上げますとともに、今後とも変わらぬお付き合いを賜れましたら幸いに存じます。」
この流れで伝えることで、「やめます」だけで終わらない、前向きなメッセージになります。
メール・電話・書面はどう使い分ける?最適な連絡手段
お歳暮をやめることを伝える手段としては、主に以下の3つがあります。
● メール
・スピーディーで、相手の負担も少ない
・日常的にメールでやり取りしている関係に向いている
・文面を残したい場合にも便利
● 電話
・特にお世話になっている取引先や目上の相手に丁寧な印象を与えられる
・相手の反応をその場で聞くことができる
・正式な文書やメールを送る前の「前置き」としても有効
● 書面(手紙・挨拶状)
・格式を重んじる相手や、長年の重要な取引先向け
・かしこまった印象になり、年末の季節のご挨拶も兼ねられる
・時間と手間はかかるが、そのぶん丁寧さが伝わる
重要な取引先や目上の方には、「電話で一言+その後メールや文書でフォロー」という二段構えにすると、より丁寧な印象になります。
相手に誤解を与えるNGフレーズと避けるべき言い回し
お歳暮をやめるときに、次のような表現は避けたほうが無難です。
・「お歳暮の風習も古くなりましたので、やめさせていただきます。」
・「今後はこのような慣習は行わない方針です。」
・「経費節減のため、お歳暮はやめることにしました。」
これらの表現は、相手や風習を否定しているように聞こえてしまう可能性があります。
また、「経費削減」を前面に出すと、「それほどの価値がない取引先だと思われたのか」と受け取られてしまうことも。
代わりに、
・「社内の贈答に関する取り決めを見直し、すべてのお取引先様に対し、贈答によるご挨拶を控える運びとなりました。」
・「今後は、日頃のお取引を通じて感謝の気持ちをお伝えしてまいりたいと存じます。」
といったように、“全体の方針”として、かつ前向きな姿勢を伝える表現を選ぶと安心です。
【シーン別】お歳暮をやめるときの文例テンプレート
ここからは、実際に使える文例を「取引先」「上司・社内」「長年の顧客」「急にやめる場合」の4パターンに分けてご紹介します。
状況に合わせて、社名・部署名・名前などを書き換えてご活用ください。
取引先に送る「お歳暮辞退」の丁寧な例文
◆ メール・文書での例文
株式会社〇〇〇〇
営業部 〇〇〇〇様
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
このたび弊社では、社内の贈答品に関する取り扱いを見直し、すべてのお取引先様に対し、お歳暮などの贈答によるご挨拶を控えさせていただく方針といたしました。
つきましては、誠に勝手ながら、本年以降のお歳暮のご挨拶は差し控えさせていただきたく存じます。
これまで賜りましたご厚情に、あらためて深く感謝申し上げますとともに、今後とも変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます。
まずは略儀ながら、書中をもちましてご挨拶申し上げます。
上司・社内向けの控えめで角が立たない文例
社内で個人的にお歳暮をやめたい場合は、相手の立場を立てつつ、家庭事情や今後のスタンスを伝えるとスムーズです。
◆ 社内メールの例文
〇〇部長
いつも大変お世話になっております。〇〇課の△△でございます。
毎年お歳暮の品をお贈りしておりましたが、今後は公私の贈答を控えさせていただきたく、本年をもちましてお歳暮のご挨拶は失礼させていただきたいと存じます。
これまでのご指導に心より感謝申し上げますとともに、今後も変わらぬご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
長い付き合いの顧客に対するフォローを含む例文
長年のお付き合いがある顧客の場合は、「お歳暮はやめるが、関係は続けたい」というメッセージをしっかり伝えることが大切です。
◆ 顧客向け挨拶状の例文
拝啓 歳末の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 平素は格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
さて、弊社ではこのたび、贈答によるご挨拶のあり方を見直すこととなり、誠に勝手ながら、本年をもちましてお歳暮のご進物は差し控えさせていただく方針といたしました。
日頃のご厚情に感謝する気持ちに変わりはございません。
今後は、これまで以上にサービスの向上に努めることで、感謝の気持ちをお伝えしてまいりたいと存じます。
末筆ながら、貴社のますますのご発展と皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
敬具
突然やめる場合のフォロー文・トラブル回避の文例
すでに数年間途切れなく贈ってきた場合、「今年から急にやめる」と相手も違和感を覚えがちです。
その場合は、「本年を区切りとして」などの表現を使い、フォローの一言を添えましょう。
◆ メールのフォロー例文
これまで毎年お歳暮のご挨拶をさせていただいておりましたが、本年を一つの区切りとし、来年以降は贈答によるご挨拶は控えさせていただきたく存じます。
長年にわたり温かいお付き合いを賜りましたことに、あらためて御礼申し上げます。
今後ともお取引を通じて、変わらぬご愛顧を賜れましたら幸いに存じます。
お歳暮の代わりに失礼なく気持ちを伝える方法
「お歳暮そのものはやめたいけれど、感謝の気持ちはきちんと伝えたい」という場合は、別の形で気持ちを表す方法を検討してみましょう。
お年賀・季節の挨拶状・感謝の手紙へのスマートな切り替え方
お歳暮の代わりとしてよく使われるのが、次のような形です。
・年明けの「お年賀」の挨拶状やメール
・年度初めや決算期などの「節目のご挨拶」
・プロジェクト終了時や契約更新時の「お礼の手紙」
たとえば、お歳暮をやめた翌年からは、
「本年も変わらぬお引き立てを賜り、誠にありがとうございました。」
「今後とも末永いお付き合いをお願い申し上げます。」
といった文章を添えた年賀状や季節のご挨拶に切り替えることで、金品ではなく言葉で感謝を伝えるスタイルにシフトできます。
メールで感謝を伝える場合の短文・長文の使い分け
ビジネスでは、メールだけで完結するケースも増えています。
関係性や状況に応じて、「短め」「やや丁寧」の2パターンを使い分けると便利です。
◆ 短めのメール例
「日頃より格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
弊社では贈答によるご挨拶を控えておりますが、日々のお取引を通じて感謝の気持ちをお伝えしてまいりたいと存じます。今後ともよろしくお願い申し上げます。」
◆ 丁寧なメール例
「平素は格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。
弊社では社内方針により、お歳暮などの贈答によるご挨拶は控えさせていただいておりますが、改めて日頃のご支援に深く感謝申し上げます。
今後とも、より一層お役に立てるよう努めてまいりますので、変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます。」
関係を良好に保つための“ひと言添える”テクニック
お歳暮をやめる・贈らないと伝えるときは、最後のひと言がとても大切です。
たとえば、次のような一文を添えるだけで、相手の受け止め方は柔らかくなります。
・「今後とも変わらぬお付き合いを賜れましたら幸いです。」
・「これまでと変わらぬご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。」
・「ささやかではございますが、日頃のご厚情への感謝を込めてご挨拶申し上げます。」
「やめます」で終わらせず、今後に向けた前向きな一言を添えることが、お互いに気持ちよく関係を続けるためのコツです。
まとめ:お歳暮をやめても信頼関係を保つために大切なこと
ビジネスでお歳暮をやめることは、決して非常識なことではありません。
むしろ現在では、多くの企業が贈答の習慣を見直し、本来の業務やサービスで感謝を示すスタイルへと移行しつつあります。
大切なのは、
・一方的に黙ってやめないこと
・「社内方針」「すべての取引先を対象」といった、相手を否定しない理由を伝えること
・これまでの感謝と、今後も関係を続けたい気持ちを言葉でしっかり添えること
という3つのポイントです。
この記事でご紹介した考え方や文例をベースに、相手との関係性に合わせて少しずつアレンジしていただければ、お歳暮をやめても信頼関係を損なうことなく、スムーズに次のステップへ移行できるはずです。
年末のご挨拶に悩んだときの「ひな形」として、ぜひ手元に置いて活用してみてください。

