パイロットフィッシュは、新設された水槽の立ち上げにおいて中心的な役割を担う魚です。この名前を聞くと、「どのような特別な魚なのか?」と興味を持つ方も多いでしょう。
パイロットフィッシュは「水槽内の水質や環境を整える大切な役割をもつ」魚です。この記事では、パイロットフィッシュの重要性と役割について、お話ししていきます。
パイロットフィッシュとは
パイロットフィッシュとは、水槽の初期設定時に少数導入される魚のことを言います。新しく設置された水槽では、水をきれいにするバクテリアが不足しているため、魚の排泄物に含まれる有害物質の分解が不十分です。
このような状況下で、バクテリアの成長を促進することが重要となります。バクテリアは魚の排泄物を栄養として使用し、それにより水槽環境を改善します。
そのために、バクテリアの成長を助ける排泄物を供給する魚がパイロットフィッシュです。
パイロットフィッシュに最適な魚種
パイロットフィッシュには以下の特徴を持つ魚が適しています。
- 小型であらゆる環境に対応できる丈夫な魚
- 長期間飼育しやすい魚
これらの特徴に関して詳しく見ていきましょう。
小さくて順応性のある丈夫な魚
新設された水槽では水質がまだ安定しておらず、浄化バクテリアの不足が見られます。
その結果、アンモニアなどの未分解物質が水中に残る可能性が高く、魚にとって厳しい環境が生まれます。この状況でも生存可能な強健な魚が求められます。
また、水質の急変を避けるためにも小型の魚が望ましいです。
継続して飼育可能な魚
パイロットフィッシュの役割が完了した後も、その魚は同じ水槽で生活します。
そのため、他の魚との混泳が可能で、長く大切に飼育できる魚が適しています。
パイロットフィッシュにおすすめの観賞魚5種
混泳に適した丈夫な熱帯魚を以下に紹介します。
ネオンテトラ
初心者に人気の魚で、水質への適応力が高く、穏やかな性格が特徴です。その美しい色合いが水草との相性も抜群です。
カージナルテトラ
ネオンテトラと似ていますが、色彩がより鮮やかで、成長するとやや大きくなります。赤いラインが際立ち、長期間の飼育に適しています。
グリーンネオン
ブルーのラインが特徴的で、清涼感のある色彩が魅力的です。バランスの取れた体型が涼しげな水景にぴったり合います。
アカヒレ
低温にも強く丈夫で、パイロットフィッシュとして理想的です。飼育を続けることで色彩が深まるなどの魅力があります。
ラスボラ・エスペイ
特徴的なオレンジ色が目を引き、水に慣れるとさらに色が強調されます。自然な水景に溶け込む落ち着いた色合いが特徴です。
パイロットフィッシュの最適な導入時期
水槽の設定が完了し、ヒーターやフィルターが動き始めたら、パイロットフィッシュの導入を検討する時期です。水質の調整はもちろん欠かせません。
新しく設置された水槽のこの段階は、特にバクテリアを育てる「飼育期」と捉えることができます。バクテリアに必要なアンモニアを供給するためにパイロットフィッシュが重要な役割を果たします。
パイロットフィッシュを導入しないと、理想的なバクテリアの成長を見込むことが難しく、水槽の立ち上げがスムーズに進まないことがあります。
パイロットフィッシュがいない場合の影響
パイロットフィッシュがいないと微生物の状態が変わったりします。
最終的に魚を導入する際、排泄物を分解するバクテリアが豊富に存在することが重要です。そのため、パイロットフィッシュの導入は効果的な手段です。
パイロットフィッシュを使わない水槽の立ち上げ方
すでに別の水槽を所有している場合、その水槽の水を新しい水槽に移すことも一つの方法です。
この「タネ水」を使うことで、既に安定した水質とバクテリアを新しい水槽に移すことができ、通常よりも水槽を早く立ち上げることが可能です。
パイロットフィッシュを導入する際にも、この方法で負担を軽減することができます。
適切なパイロットフィッシュの数
パイロットフィッシュの理想的な数は、水槽のサイズによって異なります。
30cmの水槽では3匹以下
45cmの水槽では4匹以下
60cmの水槽では5匹以下
これはあくまで基本的な目安であり、使用する環境に応じて調整することが大切です。
特に栄養系ソイルを使用している場合は、コケは発生がしやすくなるのでパイロットフィッシュの数を少なめにするなどの調整が必要です。
数が少なくても、アンモニアの生成により水槽は適切に立ち上がる可能性がありますが、そのプロセスは長引くことがあります。
パイロットフィッシュと名付けられた海水魚の存在
「パイロットフィッシュ」という名前は、実際に存在する海水魚、ブリモドキにも使われています。この魚はスズキ目アジ科の魚。熱帯魚などを水槽で飼育する際、先に水槽で飼育して目的の魚に適した環境を作り上げるために利用する魚。
出典:ウィキペディア
まとめ
パイロットフィッシュは、水槽立ち上げ時に数匹導入される魚です。その主な目的は、バクテリアを効率よく増やすことです。
パイロットフィッシュの適切な数は水槽のサイズによって異なります。小型で丈夫な魚がパイロットフィッシュに適しています。
パイロットフィッシュを導入しないと、理想的な環境になるまで時間がかかることがあります。
水槽の立ち上げから維持管理に至るまで、パイロットフィッシュの役割を理解し、適切にケアしていただければと思います。